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執筆者の写真Bottega di Pinocchio

ベビーカーフ!

皆さん、こんにちは! なかなかコロナ禍の終わりが見えませんね。。。 イタリアでも最近は頻繁にオリンピック開催地である東京のニュースが取り上げられています。 本当に開催して大丈夫?、なんてよく聞かれますが。。。それはむしろ私が聞きたいくらい 苦笑 実は先日、私はワクチンを摂取してきました。 まさかの会場はこちらです。。。w



厳密にはクチネリ所有のサッカースタジアム内で受けてきました。 アクセス最悪な接種会場なので色々と大変でしたが無事一回目を終えました。 翌日、腕が極度の筋肉痛になり大変でしたが、それ以外は全く問題ありませんでした。 正直、色々な問題が指摘されているだけに不安でしたが、我々インポーターにとってはもはや免罪符のようなものなので、こればかりは仕方ありません。 さて前置きはこのへんに留めておきますw



本日は去年夏から進めていた革靴企画についてこちらでご紹介させて頂きます! インスタではちょこちょこと写真を上げていたので、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 実はこちらの靴、ある有名タンナーのデッドストックレザーを採用しています。 このデッドストックレザーですが、ロックダウン時にこのタンナー内の在庫整理をしている時に出てきたもので、およそ20年近く倉庫に埋もれていたものとのことです。 去年の6月、ロックダウンが明けて少したった頃、たまたまこのタンナーの倉庫に出張がてら伺った際にこの革を見つけました。 かなりの年月が経過している為、再タンニングを施している最中でしたが一部仕上がっている革と価格をみて全量買い取りを即決しましたw



この革、実は正真正銘のベビーカーフです。 革を良く知っている方なんかでは周知の事実かもしれませんが、カーフ名目で売られている靴でも日本基準のカーフ、所謂ベビーカーフが用いられてるものはほとんどありません。 有名タンナーのカーフは総じて日本基準におけるキップだったりします。 そもそも現在各社が出しているベビーカーフは結構散々な品質だったりしますし、赤の厚みがなく機械生産には不向きであったりするのである意味当然のことではありますが。。。 Linea pelleという世界最大の革見本市でも、ベビーカーフを見つけるのはこうした不人気もあって少し苦労したりします。 やっと見つけても片隅にひっそり置かれていて、触ってガッカリというのが関の山です 苦笑 挙げ句、価格を見て驚くという流れです。 そもそも現在は一般的な革の場合、食肉用の動物から出た皮以外の販売は行えません。 つまり良質な皮だけの為に育てられた動物の革というものはありません。 よく昔に比べて革の品質が下がったと言われますが、この影響によるものだったりします。 たまに動物愛護の流れで本革製品を反対する活動があったりしますが、そういった訳で実はナンセンスだったりします。 現在の皮は食肉後の副産物です。 つまり使わなければ捨てられるだけです 苦笑



話を戻しますと、こういった理由がありベビーカーフの場合はより良い原皮を手に入れるのが難しいのです。 そもそも子牛肉の需要がそんなに多くないのは、比較的想像しやすいですよね。 さらにいえば、子牛の段階から多くの肉を採取出来るようにするため、なるべく早く体を大きくさせるよう飼育されます。 これが更にベビーカーフの品質を下げてしまうのです。 価格は高いのに決して品質が良いわけではない、だからこそベビーカーフを取り扱うタンナーやメーカーがほとんどいないというのが現実です。 しかし今回の革は、その点ちょっと現存するベビーカーフとは異なります。 食肉用か皮用かは判断出来ないので明言しませんが、ハリやコシ、そしてキメの細かさが全く一般的にみるものとは明らかに異なります。 特段すべきはなんといっても、そのモチモチ感です。 現在のベビーカーフには、目立ってこのハリとコシがないんです。 ペラペラで革というよりも、紙のような印象です。


この風合いは実際製品化した時に、表情として靴に現れてきます。 ヌメッとした若干重厚感のあるツヤ感に変わります。 しかしそこはベビーカーフ、一見矛盾するようですが更に透明感もあるんです! 私には一足どうしても忘れる事の出来ない革靴があります。 一見なんの変哲もないホールカットの革靴なのですが、その表情に完全に魅了されました。 もう既に引退をしている職人の靴なので私が今後一生手にする事はないのですが、未だに忘れる事が出来ない革靴です。 この革靴に用いられた黒のベビーカーフの品質と表情が、私が革選びをする時に基準とするものだったりします。 これ、全く大げさではなく、常に最初はこれを基準にして革を選んでいます。 まだまだそれには及ばないものの、少なくともこの触れた時に感じるハリとコシの風合いはかなり近いといえます。 少なくとも、あまり見たことのない革であることは間違いありません。



かなり長々と書いてきましたが、革だけの話に終始してしまいました。。。 次回もこちらの革靴についての続きを投稿していきます。 革だけでなく靴にもちょっとした特別な工夫を入れ込んでいますので、是非次回もお楽しみに!


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